スチールストーリージャパンホットニュース

 

   
hotnews

2018-07-18
18年7 月19 日情報 NEW
2018-05-21
特集1 中国の鉄鋼過剰生産と鉄スクラップ需給(18年5月)  
2018-05-21
特集2 改正廃棄物処理法と届出除外対象について(18年5月)  
2018-05-21
特集3 中国の輸入廃品検査と新基準及び現代製鉄の検収強化(18年5月)  
2018-05-21
特集4 改正バーゼル法と雑品ヤード規制、日本鉱業協会の動き(18年5月)  
2017-06-21
雑品ヤード規制(バーゼル条約)と廃棄物処理法改正について  
2017-05-28
雑品を「有害使用済機器」とし廃棄物処理法で規制-その解説(1)  
2017-05-28
雑品を「有害使用済機器」とし廃棄物処理法で規制-その解説(2)  
2017-05-28
雑品を「有害使用済機器」とし廃棄物処理法で規制-その解説(3)  

社史作成

英文翻訳

鉄スクラップ総事典

鉄スクラップ史集成

スクラップ業者現代史

スクラップ業者列伝

 

改めて中国の「地条鋼」と鉄スクラップ輸出を考える(17年6月)

1 東鉄、中国から鉄スクラップを輸入(510日・鉄鋼新聞など)=中国では鉄スクラップ輸出には40%の高率の輸出関税がかかる。そのなか4月、韓国のセアベスチール向けにシュレッダーが船積みされた。▽東鉄が中国から鉄スクラップを輸入した。GW明け9日に九州工場岸壁に接岸、数量は約1千㌧。岡山や田原工場での試験的な輸入を検討しているとみられる。GW中に調査のため、酒井課長と検収担当の2人を現地に派遣した。

 

2 中国鉄スクラップ輸出背景(ネット情報まとめ)=中国国家発展改革委員会(発改委)産業協調局の夏農巡視員は413日、スクラップを原料とするために品質を維持できない鉄鋼製品(地条鋼)の取締まりを6月末までに実施すると強調した。14日付経済参考報が伝えた。中国政府は鉄鋼減産の一環として、地条鋼の取締まりや実質的に経営破綻し再生が見込めない「ゾンビ企業」の整理を進めている。6月までの取り締まりに続き、7月以降は取り締まりを受けた工場の閉鎖状況、設備の撤去状況などの点検作業を行う。

 

▽地条鋼=鉄スクラップなどを中周波誘導電気炉で溶かして製造した成分や品質の安定しない粗悪な鉄鋼・鋼材。当初は地面に埋め込んだ簡易設備で製造していたので「地」という文字が使われた。地方政府が洗い出した生産業者は500社以上、総生産能力は1億1,900万㌧に上る。地条鋼はそもそも違法で存在しないはずだから生産統計にも削減計画にも含まれない。これが抑制されれば製品・原料市場へのインパクトは大きい。

 

*出所: 【中国】「地条鋼」の徹底取り締まり、6月末までに

https://this.kiji.is/226388235565745652?c=113147194022725109

今月の視点-『地条鋼』とは何ですか?

http://www.dir.co.jp/research/report/overseas/china/20170426_011938.pdf

「地条鋼」の取り締まり、対象は1億トン超

https://www.nna.jp/news/show/1602248

 

3 中国は過剰生産設備、鉄鋼の輸出を国策として抑制する=中国鋼鉄工業協会の遅京東副会長は1610月、中国の鉄鋼生産能力過剰は「最終的に2020年までに1億4千万㌧分を削減することが政府によって決定された」と述べた。

 

4 中国の鉄鋼生産、過去最高17/6/2)=中国の3、4月の粗鋼生産は7千万㌧超で、月間ベースは2カ月連続で過去最高を更新。インフラ投資の拡大が続くほか統計に反映されない粗悪な鉄鋼の違法生産を取り締まっているためだ。4月粗鋼生産は前年同月比4.9%増の7278万㌧、3月が同1.8%増の7199万㌧。4月の生産量は、年間8.85億㌧ペース。16年より7700万㌧増で、増加幅は韓国の年間生産量(年6900万㌧)を上回る。

 

5 中国産鉄スクラップ輸出商談、一時停止(67日・産業新聞)=中国産鉄スクラップの輸出商談が一時的に停止している。商社やシッパーによると、中国では鉄スクラップに40%の輸出関税をかけているが、鉄スクラップ基準単価が曖昧とされ、政府が基準単価を設定する動きが出ているという。基準単価を低く設定し、輸出税額を下げて輸出していた現地バイヤーはこの中国政府の動きをにらんで様子見の姿勢に転じてきており、新規商談がストップし、既存契約に関しても一部でキャンセルが出ているもようだ。

 

6 中国関連データ(鉄源協会資料)から見れば

 

   世界の粗鋼生産推移と全体シェア

世界=2006年(125,010万㌧) 10年(143,343万㌧) 15年(162,090万㌧)

日本=2006年(全体シェア9.3%) 10年(7.6%) 15年(1億515万㌧・6.5%)

中国=2006年(全体シェア33.7%)10年(44.6%) 15年(8383万㌧・49.6%)

 

   世界の鉄鋼半製品・最終鋼材輸出推移と中国シェア

世界=2006年(4億1,830万㌧) 10年(3億9,080万㌧) 14年(45,270万㌧)

中国=06年(5,170万㌧・12.4%)10年(10.6%) *15年(1億1,160万㌧・-%)

 

   鉄スクラップ自給率

世界=2006年(99.9%)   2010年(99.7%) 2015年(―)

日本=2006年(1177%) 2010年(115.8%)2015年(122.2%)

中国=2006年(89.3%)   2010年(94.9%) 2015年(98.8%)

 

   鉄スクラップ発生推定量(単位・万㌧)

世界=2006年(43,511万㌧ 2010年(47,046万㌧ 2014年(57,468万㌧

日本=2006年(4,966万㌧     2010年(4,394万㌧     2015年(4,231万㌧

中国=2006年(4,462万㌧     2010年(1138万㌧   2015年(19,047万㌧

 

7 解説=中国・鉄スクラップ輸出解説

 

・その現状=中国の粗鋼生産は世界全体の半分を占める(資料①)。その中国の鉄鋼輸出が急増(資料②)し、世界は鉄鋼保護貿易に傾いている。中国政府は16年以降、国内の過剰生産設備の抑制に乗りだし、地条鋼と鉄スクラップ輸出問題が表面化した。地条鋼の生産業者は500社以上、総生産能力は1億1,900万㌧。「地条鋼はそもそも違法で存在しないはずだから生産統計にも削減計画にも含まれない」とされる。とすれば中国の鉄スクラップ自給率(資料③)、鉄スクラップ発生推定量(資料④)は大幅に見直す必要がでてくる。誤差10%と仮定すれば、15年の中国の自給率(98.8%)は最大108.8%、また地条鋼の生産量を総生産能力(1億1,900万㌧)の40%としても、5,000万㌧前後の鋼材供給と同量の鉄スクラップ需給の見直しが必要となってくる。中国の鉄スクラップ発生推定量は19,047万㌧(15)ではなく、2億4,000万㌧を超えている可能性もある。

 

・その背景=地条鋼への政府の締め付けは「劣悪鋼材」の淘汰というよりは、「過剰老朽生産設備の整理」と「環境対策」の色合いが濃いとされる。過剰生産の整理は、いわば「国際公約」(3 中国は鉄鋼輸出を国策として抑制する)であり、同時にPM2.5など大気汚染や水質悪化防止は重大な国内問題である。その対策として、環境悪化の原因である劣悪な製鋼・精錬設備の排除に乗り出した、と見られている。

 

・その今後=ここで注目すべきは、上記の「4 中国の鉄鋼生産、過去最高」と「統計に反映されない粗悪な鉄鋼の違法生産を取り締まっているためだ」との記事だ関係者によれば、地条鋼メーカーの上工程である老朽製鋼設備は大気汚染の元凶として廃棄・淘汰が命じられているが、圧延設備は無傷。ビレットで生産を続行しているとされ、この数字が粗鋼生産増加となって表面にでてきた、とされる。とすれば、ビレット原料である鉄スクラップは国内で使用されるから、海外輸出に回る分はその分少ない筈、とも見られる(5 中国産鉄スクラップ輸出商談、一時停止)。

 

・その将来=ただ上記の通り、中国の鉄スクラップ需給は、いつ溢れだしてもおかしくないボリュームである。40%の輸出関税がこれを皮一枚で防止しているが、中国は「上に政策あれば、下に対策あり」の国柄であり、制度・政策はいつ変更されるか分からない。「市場(マーケット)の変化は常に予想以上に早い」。それを忘れてはならない。

以上